スマートシティやスマートビルの海外事例に見るNiagara導入のメリットとは?
2024年5月21日
スマートシティやスマートビルなどのスマート化には「統合」や「監視(見える化)」といったキーワードが必ずと言っていいほど付随します。デバイスやシステムの統合、監視をするための基礎システムが「ビルディングオートメーションシステム(BAS)」や「ビルディングエネルギーマネジメントシステム(BEMS)」です。
「築年数の異なるビルや機器を柔軟につなぎ合わせて監視したい」、「ZEB、環境性能やウェルビーイングといった昨今のビル課題に対応したい」といったお客様の新たな需要が増えつつある今、システムを柔軟に構築することができるビルディングオートメーションシステムとして世界中で採用されているのが「Niagara Framework®(ナイアガラフレームワーク)」です。
そこで今回は、世界各国で導入実績を持つNiagara Framework® の導入メリットについて、具体例を交えながらご説明します。
1. Niagara Framework®(ナイアガラフレームワーク)とは?
Niagara Framework® (以下、Niagara) は、さまざまなソリューションに対応するIoTプラットフォームであり、現在は建物内外の設備管理や中央監視を中心に広く使われているソリューションです。
Niagaraは、既存ビルで使用されているさまざまなデバイスやシステムとビルディングオートメーションシステム(以下、BAS)を統合し、インテリジェントなスマートビルディングを実現するためのソリューションです。またメガクラウド事業者が利用するデータセンターや各国軍事施設でも使用されるほどの強固なセキュリティ機能を持っています。また、お客様の目的に合わせて自由なカスタマイズが可能で、機能の拡張も比較的容易に行うことができるのが特徴で、海外のスマートシティ計画にも取り入れられています。
あらゆるデバイス、ビルディングシステムを統合
2. なぜNiagaraが選ばれるのか - 5つのポイント
Niagaraは、すでに80以上の国や地域で130万件を超える導入実績のあるソリューションであり、特に、政府ビル、空港や軍事施設、データセンター、スマートシティ等、高い堅牢性を求められる環境への導入実績を数多く持っています。設備を最適化し、ビル運営のコストカットを実現する技術は他にも存在しますが、他のスマートビルシステムと比べてNiagaraが選ばれる5つのポイントをご紹介します。
1. 各種プロトコルに対応した豊富な接続性
従来のビルオートメーションシステムの多くはメーカー独自方式などクローズドシステムを前提としていましたが、Niagaraはオープンシステム※を採用しています。Niagaraは、既存のビル管理システムで使用されている標準ネットワークプロトコル(LonWorks、BACnet、Modbus、oBIX、KNX、etc.)に対応しており、ビル設備に限らず多種多様な接続が可能です。単一メーカーに依存しないため、設備更新時の選択肢も広がります。
さらには、既存ビルで使用されているデバイスと新たに追加するデバイスを自由に組み合わせることもでき、築年数の異なる複数ビル間であっても単一システム内で統合的な管理・制御を実現します。
※メーカー独自の仕様など、一般に仕様が広く公開されていないシステムを用いるのではなく、 技術的な仕様が公開されているOSやハードウェアを組み合わせて構築されたシステムにすること
2. 高い拡張性
マルチベンダ構成に伴い、高い拡張性を持ちます。そのため、柔軟な構築が可能で、小規模から大規模な物件にいたるまで実績があります。環境性能や従業員のウェルビーイングといった、新たな需要に伴うデバイスの追加・制御も簡単です。
3. より多くのデータを取得することが可能
近年の大規模建築向け設備は、単独でも数多くの監視ポイントを持つ傾向にあります。Niagaraは通信により、それらの詳細な設備データを余すことなく取得可能です。単なる中央監視から、収集データの分析・活用をすることで、一歩進んだビル管理を実現することができます。
4. 強固なIoTセキュリティ
Niagaraは、IoTのセキュリティに " 多層防御 " のアプローチを採用しています。
デフォルト設定でも強固なセキュリティが保証され、強固なユーザパスワード強度設定が可能です。さらに、使用中のデータと保存中の機密データは、どちらも暗号化されます。
Niagaraは、ロールベース アクセス制御 (RBAC) を使用しているため、ユーザー権限を簡単に設定でき、例えば、ビル管理システムから必要な情報のみをテナントエリアのユーザーに提供することも可能です。
また、LDAP や Kerberos など既存のセキュリティシステムと統合もでき、すべてのユーザー操作とセキュリティ関連のイベントは、トレーサビリティ確保のためにログに記録されます。
5. 操作性に富んだUI、都度の解析も簡単
タグによる検索機能や、ドラッグアンドドロップでカスタマイズできるチャートなどにより、迅速かつ簡単に欲しい情報を視覚化できます。さらには、デスクトップ、タブレット、モバイル間で統一されたUXを実現する共通デザイン言語が組み込まれています。
HTML5による新しいUXフレームワークでUI機能を提供しており、直観的に理解しやすいチャート、アラームコンソール、スケジューラ、ナビゲーションツリー、およびプロパティシートを含み、多くのデータへスムーズなアクセスが可能です。
3. Niagaraを用いた世界のスマート化事例
先述したメリットをふまえ、ここからは実際に世界各地でNiagaraが使われた事例をご紹介します。
プロジェクト概要 | オフィス複合施設における制御面の改修 |
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対象物件 | 都市型複合施設 ( 最も高いビルは 25 階建て、構造物としての全長は 114.0 m) |
プロジェクト面積 | 約280000㎡ |
プロジェクト範囲 | Niagaraの管理下にあるサービスとして、HVAC、エネルギーメーター、蒸気監視、ガス検知、およびビル外面への圧力装置を含む |
制御ポイントの数 | 60,000個 |
米国某所に位置する25階建ての建物を含む都市型複合施設では、50フロアを超える、さらには築年数の異なる3 棟のビルを対象にしたリノベーションが行われました。その際、クライアントのビル管理システムへの要望は、構内ポートフォリオ全体で標準化されたビル管理システムを導入し、オペレーターが一貫した単一の画面から施設を運営できるようにすることでした。
先述したように、Niagaraは多様な接続性を持つことが大きな特徴です。Niagaraは施設内にある、メーカーや年代の異なるHVAC、圧力装置などから約60000ポイントを集約し、画面から操作できるようにしたことで、統合的なビル管理を実現しました。
N4 のアップグレードにより 70 年代に大都市で生まれた複合施設が完全に生まれ変わる
プロジェクト概要 | コジェネレーションを含む地域熱供給ネットワークの集中管理および制御 |
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プロジェクト範囲 |
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イタリア北西部に位置するクーネオ市では、地域の熱電供給プラントの建設に合わせ、地元企業の工場廃熱を地域の熱供給システムと組み合わせることで、化石燃料への依存度を減らし、より安い価格で地域住民に電力を供給することに成功しました。その中央エネルギー管理システムの中核として導入されているのがNiagaraです。
Niagaraの導入により、熱電供給プラントのネットワークに接続された約500箇所の暖房サブステーションをほぼリアルタイムで監視することが可能となり、制御の最適化を実現しています。Niagaraの拡張性の高さは、スマートシティ計画とも高い親和性を持っていると言えるでしょう。
クーネオ市、工場の廃熱を住居の暖房に利用
プロジェクト概要 | 産業プラントおよびオフィス内の一元的なエネルギー管理 |
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プロジェクト範囲 | すべての標準的なビルディング システム (HVAC、照明、火災警報器、電力 )、ヒューム排出装置や天窓モーターなどの特殊な産業施設システム、およびプレス機械、運搬装置の積み込み機や持ち上げ機などのエネルギーを大量消費する産業機器を一元的管理下に |
イタリアのArneg 社は、冷蔵カウンターや冷蔵棚の製造で知られる企業です。 Arneg 社が持っている産業プラントでは、冷暖房や照明といった一般的なビル設備に加え、製造プロセスの手順で発生するほこりや汚染物質から従業員を保護するためのヒューム排出システムや、運搬装置の持ち上げや積み込み用の機械、プレス機械などの大型生産機器など、多くのエネルギーを消費する機械を多数所有しています。そのため、これらの機械の稼働状況やスケジュール、エネルギー消費データを一元的に表示する機能が求められました。加えて、現場の太陽光発電設備によるエネルギー生産量とエネルギーの消費量を比較することで、さらなる運用の効率化を目指していましたが、Niagaraの導入により、これらのエネルギー消費が最適化されただけでなく、環境に関するスタッフへの充分な情報提供も可能になりました。
イタリアの製造業者、Niagara を使用して環境の持続可能性と従業員の健康への取り組みを維持および拡大
プロジェクト概要 |
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主なメリット |
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また、Niagaraには制御システム以外を統合した前例も存在します。米国で950 軒以上の店舗を展開するガソリンスタンド兼コンビニエンスストアチェーンであるWawa社では、Niagaraを用いて各店舗の業務用デバイス、機器、システムを相互に接続し、そこに財務をはじめとする本社ネットワークの統合が試みられました。
アプリケーションは、Niagara Framework® を中心にして構築され、これによりWawa社の施設チームは、店舗内のほとんどの主要システムからのデータ ストリーミングを、ローカルで、またオンプレミスで一元的に、そしてリモートでも、監視、制御、アーカイブできるようになり、幅広いシステムと機能にわたって効率化が実現されました。
Wawa 社、スケーラブルな IoT ワークフローに Niagara を導入
4. まとめ
いかがでしたか?
当社ではNiagaraを用いたビルディングマネジメントシステムの事例が豊富にあります。日本でのデータセンターやオフィスなど大規模~中規模まで、さまざまな事例がありますので、お気軽にお問合せください。経験豊富なエンジニアがサポートいたします。
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