いまさら聞けない!「無線LANコントローラ」とは何?
~誕生の裏話から見えてくる真実

 2022年7月14日

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オフィスや店舗、教室などで複数台の無線LANアクセスポイントを設置する際には、「無線LANコントローラ(WLC/WLANコントローラ)の導入が必須」というのが、一般的な“常識”です。

一方、この無線LANコントローラは「ハードウェアやライセンスのコスト」「冗長化への対応」「設置場所」さらには「将来の拡張に備えてどのクラスの機種を導入すべきか」など、初期に検討すること / わかりづらいことが非常に多くあり、「無線LAN導入時の悩みの種」になっているのも事実です。

そこで今回は、この無線LANコントローラは「いったいどのような経緯で誕生したのか?」「なぜ必須と言われるようになったのか?」さらには「必須とされる常識は、果たして現時点でも正解なのか?」といった皆様の疑問に対して、Sanko IBが独自に調査した開発当時の裏話を交えて「いまさら聞けない!無線LANコントローラとは何?~誕生の裏話から見えてくる真実」と題して、解説します。

1. 無線LANコントローラ(WLC / WLANコントローラ)とは何か?

無線LANコントローラ(WLC / WLANコントローラ)とは、オフィスや店舗、学校などで多数の無線LANアクセスポイント(以下、AP)を利用する際に、複数のAPを統合管理する装置です。

無線LANコントローラは司令塔として、各APの「電波の強度」、「最適なチャネルの設定」、「ローミング」の調整などを行います。いまから20年ほど前に発明されたこの無線LANコントローラは、いまでは「複数のAPを導入する際には、導入が必須」な構成要素とされています。

無線LANコントローラの役割イメージ

無線LANコントーラはサーバ型が典型的ですが、そのほかにもクラウド型やAP内蔵型、LANスイッチのモジュールに実装されているものなど、メーカーごとにさまざまな提供方法があります。

2. 無線LANコントローラの種類と特徴(メリット/デメリット)

前述の通り、無線LANコントローラにはメーカーによってさまざまな提供形態があり、それがわかりにくさを助長しています。まずは簡単に、無線LANコントローラの種類と特徴(メリット/デメリット)を解説します。

オンプレミス型

  • ハードウェア型のコントローラ
  • 複数のAPをコントローラで一括管理
  • コストや管理負荷が高く、二重化が必要
  • ライセンスが必要
  • 導入前にサーバやライセンスの規模を決める必要があるため、中長期的な拡張計画が求められる
オンプレミス型

AP内蔵型(仮想化コントローラ型)

  • APに内蔵された小型コントローラ
  • APがコントローラを内蔵することで単体でも動作する形態
  • ライセンスは不要(なものが多い)
  • 管理できるAP数に制限があり、管理に関しては拠点ごととなるため、小規模ネットワーク構築向け
内蔵コントローラ型

パブリッククラウド自社占有型

  • パブリッククラウドに置かれた自社占有コントローラ
  • ライセンスが必要
  • クラウド契約、VPNやルータの維持管理が増えるため運用コストがかさみがち
パブリッククラウド自社占有型

サービス事業者クラウドサービス

  • パブリッククラウドに置かれた共同型コントローラ
  • ライセンスが必要
  • クラウド経由でクラウド上のコントローラにアクセスし、AP監視、設定変更、バージョンアップなどの一元管理が可能
  • オンプレミス型の従来の無線LANシステムと比べ、導入コストを大幅に抑えて、比較的容易に導入可能
  • サービス事業者が運用・管理するため、APのOSが強制的に更新されることがある
クラウドに置かれた共同型コントローラ

 

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3. Airespace社によるLWAPPと無線LANコントローラの発明

では、この無線LANコントーラはいつ、どのように誕生したのでしょうか?

無線LAN製品の黎明期である2000年頃までは、各APが単体で動作する方式(自律型)のみで、多数のAPの電波強度やチャネルを最適化し、クライアントが移動する場合の接続APの切り替え(ローミング)を行うことができませんでした。

そのような自律型APの課題を解決し、複数のAPを制御するためにAirespace社によって開発されたのが、無線LANコントローラです。

Aerohive社のSEによるプレゼン資料

▲ Aerohive社のSEが2010年に作成した「WLAN2.0 The Death of the controller」より
「無線LAN2.0 コントローラの死」という大胆なタイトルです
出典:https://www.slideshare.net/ppuichaud/aerohive-the-death-of-the-controller

無線LANコントローラは、2000年初頭に米Airespace社が提唱・開発した「LWAPP(Lightweight Access Point Protocol)」(複数のAPを一度に制御するためのプロトコル)が基になっています。その後、RFC 5412として標準化され、このLWAPPが無線LANコントローラの発明の中心的な技術となっています。(余談ですが、CAPWAP:無線LANコントローラとAPとの間で通信制御をおこなうためのプロトコルは、LWAPPの系譜のもと開発され、RFC 5415として標準化されています)。

その後、Airespace社は世界初の無線LANコントローラの製品化を行い、販売を開始。これにより各APのチャネルや電波強度の調整やローミングなどが円滑に行えるようになり、日本でも無線IP電話の実用化や、携帯電話と無線IP電話の両機能を備えたDualフォンを支える基盤としても、広く普及しました。

Aerohive社のSEによるプレゼンテーション

出典:同上の資料

2005年には米シスコシステムズ社がAirespace社を買収。この仕組みはシスコの無線LAN製品である「Aironet(エアロネット)」に組み込まれ、同社の無線LAN製品ビジネスの発展に大きく貢献しました。

他社無線LANベンダーもこの無線LANコントローラを製品化し、無線LAN市場は急成長していきました。

市場の急成長と共に「理想的」と思われた無線LANコントローラでしたが、開発の経緯は非常に興味深く、Airespace社が本当に作りたかったものとは、かけ離れたものでした。
当時の状況では理想とする仕組みの実現が難しく、無線LANコントローラを開発したのは「苦渋の決断」と言わざるを得なかったのです。この「苦渋の決断」の詳細は4章以降にご紹介しますので、続きはぜひ下記資料をダウンロードしてご覧ください。

  ブログの続き(4章以降)はダウンロード資料にてご覧ください  
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